お彼岸とは
彼岸とは、サンスクリット語の「Pāramitā」に由来します。Pāramitā(=波羅蜜)は意訳で「至彼岸」(あるいは「彼岸到」)であり、「彼岸」という場所に至ることと意味です。
また、「彼岸」という言葉は、「彼方の岸」の略で、煩悩の海である「此岸(しがん)」から、修行によって海を渡りきり、輪廻を超えた涅槃の境地、「彼岸」に渡ることを意味します。特に菩薩の修行には「六波羅蜜(ろくはらみつ)」と呼ばれる修行の種類があり、これは「修行の完成」という意味です。それを表す意味の語が「彼岸到(到彼岸)」とされます。つまり、「波羅蜜」=「彼岸到」とは、「修行の末にたどり着くことのできるゴール」です。その修行の完成させる期間が、この彼岸の期間です。また、「波羅蜜」は、具体的には「六波羅蜜」とされます。
六波羅蜜とは
六波羅蜜とは、悟りの境地に達するのに必要な6つの徳目のことを指します。
- 布施|ふせ
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見返りを求めず、他人のために惜しみなく善行を施す、与える喜びを知ること
- 持戒|じかい
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戒律を守り、身を慎み、してはいけないと思うことはしないこと
- 忍辱|にんにく
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感情に流されず、辛抱強くものごとにあたること
- 精進|しょうじん
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するべきことに少しずつ努力を続けること
- 禅定|ぜんじょう
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常に静かな心を持ち、動揺せず心穏やかに過ごすこと
- 智慧|ちえ
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ものごとの道理を、正しく、深く理解すること。真理を見極めること
また、お彼岸のお中日を起点として、前後3日ずつという日数には意味があり、俗にお中日に御先祖に感謝し、残る6日は、六波羅蜜を1日に1つずつ修める日とされているそうです。
1日目 | 布施 |
2日目 | 持戒 |
3日目 | 忍辱 |
4日目 | 御先祖様への感謝 |
5日目 | 精進 |
6日目 | 禅定 |
7日目 | 智慧 |
今年のお彼岸
3月18日(金)
3月21日(月)
3月24日(木)
9月20日(火)
9月23日(金)
9月26日(月)
ぼた餅?おはぎ?何が違う?
スーパーでお彼岸の季節になると並びだす、ぼた餅。おはぎ。実はこの2つは同じものを指していて、季節によってその呼び方が変わるなんとも洒落た存在です。その季節によって変わる呼び方から、俳諧では季語としても扱われています。それぞれ見ていきましょう。
ぼた餅
まずは、ぼた餅。このぼた餅は漢字で書くと、
牡丹餅
となります。そう、牡丹なんですね。牡丹の花が咲く季節、つまり春。春彼岸にいただくのが牡丹餅と呼ぶ説があります。
おはぎ
そして、おはぎ。こちらも漢字で書くと、
御萩
となります。こちらは萩の花。秋に咲く花です。なので秋彼岸には、御萩をいただく。
と、整理したいところですが、地域によって様々な違いがあり、それぞれの定義も異なるようです。以下はその一例です。
ぼたもち | おはぎ |
---|---|
牡丹 | 萩 |
もち米 | うるち米 |
餡 | きな粉 |
こし餡 | 粒餡 |
地域によって定義、呼び方は異なるようです。
お盆とお彼岸の違い
お盆とお彼岸、いずれもお墓参りをする期間とイメージされる方が多いのではないでしょうか。どちらもそのとおりです。「お彼岸とは」で書いたように、お彼岸には修行の意味合いがあり、お盆とは異なります。お盆は御先祖様が彼岸から此岸に帰ってくる期間ですが、お彼岸には帰ってきません。(※宗派によって解釈が異なる)
わかりやすく図にまとめてみましょう。
お盆
お盆は御先祖様の魂が彼岸から此岸に戻ってくる期間です。なので、彼岸にいらっしゃる御先祖様が主役で、矢印が彼岸から此岸に向いています。お盆での「お墓参り」は御先祖様のお迎えとお送りです。そのときに手配してあげる交通手段が馬(きゅうり)と牛(なす)となります。
お彼岸
お彼岸は修行期間です。なので、此岸(煩悩の海)で生きる私たちが主役で、彼岸に至るための修行を積みます。その修行が六波羅蜜です。ですので、矢印が此岸から彼岸に向いています。この修行の中での「お墓参り」であり、きちんと修行に励んでいるよ、と御先祖様に報告するのです。
彼岸花の種類
最後に少し余談を。お彼岸というとその時期には彼岸花が咲きますね。別名、「曼珠沙華」ともいいます。一般的に彼岸花のイメージは「赤」だと思いますが、赤以外にも様々な色の彼岸花があります。お彼岸にはお墓参りをし、修行をするだけでなく、彼岸花を見てみるのもいいでしょう。赤や白の他にも桃色の彼岸花もあります。