コンビニより多いお寺!
お寺の数をどのくらいか例えるときによく使われるのが、日本全国にあるコンビニエンスストアです。まずはコンビニの数からみてみましょう。
店舗数 | 55 ,852 |
どこでも見かけるコンビニですが、数でみるとすごいですね。
続いて宗教法人をみてみましょう。
仏教系 | 77,042 |
神道系 | 86,648 |
キリスト系 | 4,704 |
諸教 | 14,271 |
仏教系はなんと約7万7000件!コンビニをはるかに凌ぐ数です。町中で目に入るのは圧倒的にコンビニですが、お寺の数のほうが多いのですね。気づかれにくいようなところにも数多くあるのでしょう。数多くあるとはいえ、年々その数は減っています。文化庁のページから確認できる最も古い統計データである平成7年度版をみてみましょう。
仏教系 | 78,002 | 減 |
神道系 | 85,668 | 減 |
キリスト系 | 3,972 | 増 |
諸教 | 16,231 | 減 |
平成7年と令和元年を比べると、キリスト系以外は減少傾向にあります。今後も減少傾向は続くものとみられています。
都道府県別ランキング
文化庁では、宗教年鑑というものを発行していて、そこにはお寺だけでなく、神社等宗教法人の調査結果が事細かく記されています。
その宗教年鑑をもとに、各都道府県別に寺院数からお寺の数が多い順にランキングしてみました!
順位 | 都道府県 | 寺院数 |
---|---|---|
1 | 愛知県 | 4842 |
2 | 大阪府 | 3444 |
3 | 兵庫県 | 3333 |
4 | 滋賀県 | 3127 |
5 | 京都府 | 3108 |
6 | 千葉県 | 3011 |
7 | 東京都 | 3008 |
8 | 新潟県 | 2923 |
9 | 静岡県 | 2629 |
10 | 北海道 | 2396 |
11 | 三重県 | 2368 |
12 | 岐阜県 | 2363 |
13 | 福岡県 | 2353 |
14 | 埼玉県 | 2227 |
15 | 神奈川県 | 1946 |
16 | 奈良県 | 1819 |
17 | 広島県 | 1784 |
18 | 福井県 | 1784 |
19 | 富山県 | 1710 |
20 | 和歌山県 | 1616 |
21 | 長野県 | 1602 |
22 | 福島県 | 1536 |
23 | 山形県 | 1493 |
23 | 山口県 | 1493 |
25 | 山梨県 | 1483 |
26 | 岡山県 | 1429 |
27 | 石川県 | 1426 |
28 | 島根県 | 1380 |
29 | 茨城県 | 1303 |
30 | 大分県 | 1267 |
31 | 群馬県 | 1215 |
32 | 熊本県 | 1211 |
33 | 佐賀県 | 1105 |
34 | 愛媛県 | 1055 |
35 | 栃木県 | 982 |
36 | 宮城県 | 948 |
37 | 香川県 | 924 |
38 | 長崎県 | 749 |
39 | 秋田県 | 684 |
40 | 徳島県 | 640 |
41 | 岩手県 | 636 |
42 | 鳥取県 | 485 |
43 | 青森県 | 481 |
44 | 鹿児島県 | 471 |
45 | 高知県 | 359 |
46 | 宮崎県 | 346 |
47 | 沖縄県 | 55 |
なんと愛知県が1位。廃仏毀釈の色濃かった鹿児島や高知の10倍以上です。いかに廃仏毀釈の際に多くの寺院がその影響を受け、廃絶されたかが、わかる数字です。
お寺も法人!でも、それだけじゃない?
このランキングのデータは、宗教法人という「法人」がもとになっています。お寺といっても、株式会社や社団法人などと同じように法人格をもっています。お寺の住職というとお坊さん、というイメージだけが強いですが、実は一法人の代表でもあります。
この宗教法人の数が約7万7000件。それだけでもものすごくたくさんのお寺が日本に存在することがわかりますが、お寺=法人がすべてかというと、実際はそうではありません。
専門用語でいうと、この宗教法人という法人格を持っているお寺のことを、「被包括宗教法人」とか「単立宗教法人」といいます。いきなり難しくなりますね。この定義について、文化庁では以下のように記載をしています。
宗教法人には,神社,寺院,教会などのように礼拝の施設を備える「単位宗教法人」と,宗派,教派,教団のように神社,寺院,教会などを傘下に持つ「包括宗教法人」があります。単位宗教法人のうち包括宗教法人の傘下にある宗教法人を「被包括宗教法人」,傘下にないものを「単立宗教法人」といいます。
概要|文化庁
ますますわからなくなります・・・。ざっくりいうと、ホールディングス化された会社組織の持株会社が包括宗教法人で、その傘下の子会社が被包括宗教法人というようなイメージです。実際には資本関係は存在しませんので、あくまでイメージです。
何が言いたいのかというと、この被包括宗教法人として約7万7000件ものお寺が存在するいうことです。これと似たような言葉に「被包括非法人」という定義があります。約7万7000件は法人格があり、その他に実は、法人格のないお寺が存在するのです。
お寺が法人格を有するようになったのは、宗教法人法が制定された昭和26年(1951年)からです。それ以前は法人格はありませんでした。昭和26年以降に設立されたお寺もたくさんあるとは思いますが、日本のお寺は、そのほとんどが江戸時代以前に創建されています。とすると、法律よりお寺のほうが先なのです。
無住状態がつづているお寺や廃寺となり、御堂のみが残っている場合など、法人格を有することなく現在に至っているお寺も数多くあるのです。地域にある観音堂や不動堂など、御堂だけが残っているものもお寺といえば、お寺ですよね。
これらを含めると一体どのくらいのお寺が存在するのでしょうか・・・?
そもそも「お寺」というのは、どこからがお寺なのでしょうか。
もはや仏のみぞ知る、未知なる領域です。